AGAVE User Meetup 2026 開催レポート
〜海外人事DXの最前線〜
2026年6月25日(木)、海外人事業務の管理プラットフォーム「AGAVE」の第3回ユーザーイベント「AGAVE User Meetup 2026」を開催いたしました。
会場となった東京・秋葉原のNXグループビルには、43社82名のユーザー企業の皆様にご参加いただきました。初開催(23社41名)から着実な広がりを見せ、海外人事業務のデジタル化への関心の高さが浮き彫りとなりました。
本イベントは、株式会社パソナ、サークレイス株式会社、日本通運株式会社の3社が交代で主催しており、今回は日本通運がホストを務めました。会場ではサークレイス社提供のオリジナルTシャツやパソナ社提供のお菓子が配られるなど、共催各社の協力による温かい雰囲気の中で幕を開けました。
開会のご挨拶
冒頭、日本通運株式会社 常務執行役員 安藤 恒夫が挨拶しました。安藤は、赴任者本人だけでなくその家族まで多方面にわたるケアに奔走する海外人事担当者の現状に対し、AGAVEがテクノロジーの力でいかに貢献できるかに言及。最新のAI技術を取り入れた業務改革を見据えつつ、テクノロジーを通じた「人間中心」の業務支援への想いを語りました。あわせて、参加者同士の情報交換によって実務全体の質が高まることへの期待を寄せ、開会の言葉としました。
日本通運株式会社 常務執行役員 安藤 恒夫
【AGAVE ミニセミナー】:製品アップデート計画
サークレイス株式会社 AGAVE開発部 兼 CS部 部長 佐藤 真輝郎 様
ミニセミナーでは、AGAVEの進化を象徴する「サービスリニューアル」と「AIエージェントへの対応」の2つのテーマについて、開発の背景とロードマップが発表されました。
サークレイス株式会社 AGAVE開発部 兼 CS部 部長 佐藤 真輝郎 様
1.10年ぶりのシステム刷新:サービスリニューアルの狙い
サービス開始から10年。多くのお客様の声に応え機能を拡張し続けてきたAGAVEは、変化の激しい海外人事領域をより力強く支えるための「業務基盤」として、システム全体を再設計しました。
・直感的な操作性への統一
画面領域を最大限に活用できる新レイアウトを採用。「一覧 → 詳細 → 編集」という操作フローを全画面で統一し、マニュアルに頼らずとも直感的に業務を完結できる操作性を実現しました。
・変化に強い拡張性とスピードの追求
基盤から刷新したことで、複雑化する法改正やお客様独自の要望に対しても、これまで以上のスピード感をもって機能改善を提供できる体制を整えました。最新技術への対応力も向上しています。
2.AGAVE × AI:人とAIが協業する次世代の業務基盤
AIを単なるツールではなく、実務を共に行う「パートナー」と位置づけ、海外人事業務のあり方をアップデートします。
・「AIヘルプデスク」の正式統合(2026年秋予定)
問い合わせ管理機能とAIを統合。AIによる即時回答と担当者による専門的サポートをシームレスに連携し、駐在員の利便性向上と人事担当者の回答負荷軽減を両立させます。
・AIエージェント対応への布石
・人ならではの業務への注力
AIが定型業務や情報検索を代替することで、人事担当者が赴任者への手厚いケアや、より高度な意思決定に注力できる環境づくりを目指してまいります。
【パネルディスカッション】:AGAVE活用事例の深化
導入企業3社が語る、海外人事業務のデジタル変革とその成果
ミニセミナーに続き、AGAVEを使いこなしている3社の実務担当者を迎え、モデレーターの日本通運の加賀より、実務に即した5つのトークテーマ(下図)が提示され、各社のリアルな活用状況が語られました。
【パネリスト紹介】
左から
日本精工株式会社 人事総務本部 人事部給与厚生室 係長 西金 句留美 様(駐在員数:約450名)
三菱商事ライフサイエンス株式会社 人事部人事グループマネジャー兼海外戦略本部 海外企画部 海外人財グループ グループマネジャー 中野 晴香 様(駐在員数:約30名)
キヤノン株式会社 人事本部人事統括センター 人事部 林 夕紀 様(駐在員数:約900名)
質疑応答
以下、質疑応答形式でご紹介いたします。
1. 導入の背景:Excel・Accessによる「属人化」と「管理の限界」
導入前に抱えていた課題について、各社から切実な現状が語られました。
林様:「約900名の駐在員情報をExcelで管理していましたが、関係各所でのデータ不一致や情報の偏在が限界に達していました。誰か一人が抜けると状況が分からなくなる属人化を解消し、全世界共通のデータベースを構築することが急務でした。」
キヤノン株式会社 人事本部人事統括センター 人事部 林 夕紀 様
西金様:「長年、社内開発のAccessで給与計算を行ってきましたが、保守担当者の不在や、将来の制度改定に対応できない不安がありました。また、計算結果をPDF化して現地法人へ手作業でメール送付するフローのミス防止も課題でした。
日本精工株式会社 人事総務本部 人事部給与厚生室 係長 西金 句留美 様
中野様:「駐在員とのやり取りがメール中心で、情報がブラックボックス化していました。複雑なExcel計算シートによるミス発生リスクに加え、膨大な経費精算の対応が担当者の大きな負担となっていました。」
三菱商事ライフサイエンス株式会社 人事部人事グループマネジャー兼海外戦略本部 海外企画部
海外人財グループ グループマネジャー 中野 晴香 様(駐在員数:約30名)
2. 導入後の成果:業務時間の劇的削減と「心理的負荷」の解消
AGAVE導入後、数値として現れた劇的な改善効果が紹介されました。
西金様:「
「以前はデータの切り分けや確認に膨大な時間を要していましたが、現在はボタン一つで本人通知が完了します。この2年間、計算ミスや誤配信はゼロを継続しており、現地スタッフの工数削減にも貢献しています。」
中野様:「年間で約1,200通のメール削減につながりました。」
「経費申請や通知をシステム化したことで、メールの見落としによる支給遅延がなくなりました。また、各種申請機能の『コメント欄』を活用して一時帰国の有効期間を記録するなど、柔軟な履歴管理が属人化の防止に役立っています。」
林様:「保健師の担当業務だけでも年間約250時間の工数を削減しました。」
「情報の一元化により必要なデータがすぐ取り出せるようになったほか、メールの追いかけや見落としの不安から解放されたという『心理的負荷の軽減』が非常に大きな成果だと感じています。」
3. BPO(業務委託)とのシナジー
AGAVEのプラットフォーム上で展開されるBPOサービスの活用についても、具体的なメリットが語られました。
・引越BPO(日本通運):林様から「AGAVE内の個人情報をそのまま引越申し込みに流用できるため、二重入力がなくなり、申し込み忘れも防止できた」と評価を頂きました。
・医療費精算BPO(パソナ):中野様は、煩雑な医療費精算の承認代行を委託。「委託にあたって判断基準やラインの線引きを棚卸ししたことで、業務の標準化が加速しました」と述べられました。
4. クロストーク:実務者同士で探る「一歩進んだ活用術」
セッションの後半では、パネリスト同士による相互の質疑応答が行われ、具体的な運用ノウハウが共有されました。
・「国ごとに異なる必要書類をどう管理するか?」
西金様からの問いに対し、林様は「閲覧権限を細かく設定したドキュメント管理機能を活用し、拠点ごとに見せる情報を制御しつつ、データベースの項目数を増やして各国固有の要件に対応している」と回答。大規模運用ならではの工夫が示されました。
・「国内の給与情報をどうAGAVEへ反映させているか?」
林様からの問いに対し、中野様は「扶養家族の生年月日をシステムに登録し、改定時点の年齢を自動計算させることで、手当の対象外になるタイミングを自動判別し、連携漏れを防いでいる」という、精度の高い運用Tipsを紹介しました。
・「駐在期間中のイベント管理はどうしているか?」
中野様からの問いに対し、林様は「プロジェクト管理機能を使い、社会保障協定の期限管理や、年1回の健康診断の実施確認を行っている」と回答。赴任・帰任時だけでなく、駐在期間中のフォローアップにもAGAVEが有効であることが共有されました。
5. 今後の展望:AI活用とプラットフォームの進化への期待
最後に、各パネリストより今後のAGAVEへの期待が語られました。
林様:「ナショナルスタッフの管理まで広げたい。その際、AIによる多言語対応が強化されると非常に心強いです。」
中野様:「駐在員の個人別フォルダ機能など、より個人に紐づいたデータ管理の強化を期待しています。駐在員にとってもさらに使いやすいシステムにしていきたいです。」
西金様:「税制改正などの情報がAGAVEから自動配信され、そのまま設定に反映できるような、海外人事業務の総合プラットフォームへの進化を楽しみにしています。」
加賀:「本日はありがとうございました。海外人事業務という非常にニッチな領域において、今後どのように課題を乗り越えていくべきか。本日はそのための具体的なヒントを、パネリストの皆様から数多く頂きました。本日の議論が、皆様の実務の一助となれば幸いです。パネリストの皆様、そして最後までご視聴いただいた皆様、誠にありがとうございました。」
【懇親会】
〜企業の垣根を越えた「海外人事コミュニティ」の醸成〜
懇親会は、サークレイス株式会社 執行役員AGAVE事業部長 市川知之 様による「AGAVEは皆様の声で進化する」という乾杯の発声でスタートしました。
立食形式の会場では、至る所で参加者同士の議論の輪が広がり、各テーブルで「一時帰国回数の管理の自動化」や「AIを社内でどう浸透させるか」といった、実務に即したディープな議論が交わされました。社内ではその専門性の高さゆえに、相談相手が限られてしまいがちな海外人事担当者が、共通の課題を通じて「生の声」を交換し、笑顔でアドバイスを送り合う姿は、本イベントが単なる製品説明会ではない、強固なユーザーコミュニティへと成長したことを物語っていました。
最後は、株式会社パソナグローバル事業本部 グローバルHR事業部長 福田浩平 様による「皆様の業務改善を3社一丸となってサポートし続ける」との閉会の辞をもって、盛況のうちに幕を閉じました。
サークレイス株式会社 執行役員AGAVE事業部長 市川知之 様
株式会社パソナグローバル事業本部 グローバルHR事業部長 福田浩平 様
最後に
今回のAGAVE User Meetupを通じて再確認されたのは、テクノロジーの進化(AI・新UI)と、それを使う「人」の知恵の融合の重要性です。AGAVEは単なるツールではなく、ユーザー様同士が刺激を受け合い、共に成長する「プラットフォーム」として、今後も海外人事業務の未来を切り拓いてまいります。

